今回は、「がんワクチン」についてのお話をします。
一般的なインフルエンザ、風疹などのワクチンは、接種することによりその病原体に対する免疫力を付け、病気を予防しようとするものです。
これに対してがんワクチンは、同じようにがんの発症を防ぐ目的で使われる予防用ワクチンと、すでに身体の中にできてしまったがんを攻撃するために使われる治療用ワクチンとがあります。
治療用ワクチンとは、がん細胞が持っている分子(がん抗原)を加工して接種するもので、体内のリンパ球を中心とした免疫細胞ががんを攻撃する力を高め、免疫力によってがんを治療します。前回広報真鶴7月号でお話した樹状細胞ワクチン療法で用いられる樹状細胞ワクチンも、治療用がんワクチンの一つです。
インフルエンザのようにウイルス感染により引き起こされる病気とは違い、がんの種類は患者さん一人ひとりによって異なります。そのため、がんワクチンを治療に用いるためには患者さん自身のがんに適した抗原を選ぶ必要があります。
手術などでがん組織そのものを入手できれば有力な抗原となりますが、得られなかった場合でも、現在では100種類以上のがん抗原の存在が明らかにされているので、人工的に合成したタンパク質を抗原として利用することができます。
2006年には初の子宮頸がん予防ワクチンがアメリカで承認され、続いて2007年にはスイスで治療用としては初めてとなる脳腫瘍ワクチンが承認されました。日本でもワクチンの有効性や安全性の検証、また効果向上に向けた改良が進められており、今後広く普及していくことを願います。
