忘れもしない2011年3月11日。東日本大震災が発生し、その津波被害はみなさんご存知の通りです。ですが、東日本大震災で被害を受けたのは人や建物だけではありません。文化財も同じように津波の被害を受けているのです。
博物館や美術館にある標本や作品は、通常空調管理された収蔵庫で保管されていますが、建物ごと津波にのまれた博物館や美術館ではすべての標本が水没し、被害を受けました。
ではそれらの標本や作品はどうされるのでしょうか。一部報道でもあるのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、文化庁がそれらの標本や作品の散逸や劣化を防ぐため、2011年3月31日に被災文化財等救援委員会を立ち上げ、文化財レスキュー事業というものを展開しています。その文化財レスキュー事業では、多くの博物館や大学の研究室などが参画し、神奈川県立生命の星地球博物館では、多くの昆虫標本や植物標本が学芸員を中心としたボランティアスタッフ等の手によりレスキューされています。この文化財レスキュー事業に、真鶴町立遠藤貝類博物館も参加し、「陸前高田市立海と貝のミュージアム」の貝殻標本の一部のレスキュー作業を行っております。
送られてきた標本はすべて海水につかっており、がれきの下から掘り起こしたものをそのまま保管していたようで、すべてが砂まみれで、一部標本にカビが発生しているものもあります。これらを水で洗い落とし、カビが発生しないように次亜塩素酸ナトリウム水溶液と70%エタノールによる薬剤処理をして、標本を仕分けます。
このレスキュー事業によって少しでも被災地のお役に立てればと考えています。
(真鶴町立遠藤貝類博物館学芸員 山本真土)
問い合わせ 真鶴町教育委員会 生涯学習課 遠藤貝類博物館 68-2111
